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有事の際、地対空ミサイルは動けません

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奄美市名瀬は大熊の山上にある陸上自衛隊奄美駐屯地には、
03(まるさん)式中距離地対空誘導弾(中SAM改)の1個中隊が配備されています。

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この飛来する航空機や巡航ミサイルを地上から迎撃する防空用のミサイル。
運用イメージにもあるように、車両による移動式を謳っています。


昨年秋に奄美大島北部の旧奄美空港跡地で行われた、自衛隊西部方面隊の実動演習でも
中SAMのミサイル車輌が旧奄美空港の滑走路跡地へ陣を張り、島内を走行練習までしていますし
有事の際は島内全域を移動して、ヒット・アンド・アウェイな生存戦略を図る。

などという事が自衛隊の広報誌も含め巷間言われてますし、自分もそう思ってた時もありました。
しかし、実際に完成した奄美駐屯地を見るに、
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ご覧の通りミサイルは三方をコンクリートの塀で囲まれた発射台へ発射機が収められ

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レーダー装置は基地内にある専用のスロープへ登ってレーダーを回転。

最初から移動を想定してしませんし、初動に限れば移動できません。
当たり前です。上記の運用イメージにあるように、
防空圏内に侵入する対空目標は航空機や巡航ミサイルなど、高速の目標ばかり。
固定レーダーサイトなどから連絡を受けて対処するまで、秒単位での対応が必要。
したがって自分からは絶対に動くことはありませんし、
有事となれば完全に受動的な対応しかできないのです。物理的に。
専守防衛の自衛隊なら尚更。

つまり、高速の航空目標へ対処する地対空ミサイル。
有事の初動に限っては、当たるか?当てられるか?スピードなど諸々一発勝負なのです。

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だからこそ、それを理解してる自衛隊は基地の中で初動を素早く対応できるように
このような発射台の如き構造体を基地内に予め構築。

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ロシアのS-400など他国の地対空ミサイルに比べ、諸々性能的に劣り
未だ派手な発射炎を出す、ホットローンチな三菱製の中SAM(改)
この基地内にあるコンクリート壁の構造体ですが、
おそらく敵ミサイルに対する抗堪性確保や、発射炎の秘匿も兼ねてると思われます。
秒単位で進行する有事に際しては、それでも間に合うかどうかギリギリでしょう。

ステルスの有無に関わらず敵航空機は艦船などに比べて高速ですし、
弾道ミサイルに至っては極音速に近い速度で動かぬ固定目標である奄美駐屯地へ
下手すると数百発単位で大挙飛来してきますし、
奄美駐屯地の中SAMには改造ヴァージョンでも弾道ミサイルへの対処能力はありません。

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高速で飛来する敵航空目標へ対応する上で
受動的にならざるを得ない地対空ミサイルと、動かぬ的である山上の基地。
何度も言うように有事の際は、やるか?やられるか?の一発勝負であり、
周囲は山岳地帯の奄美駐屯地では動く暇も場所もありません。

移動云々はその初動の一発勝負で生き残った後や、増援部隊などの話。
旧奄美空港で行われた実動演習は、その辺のシナリオを想定したものと思います。

初動はそんな完全一発勝負ですから、当然、基地の近くにある
名瀬市街地は一蓮托生の流れ弾のリスクを負うことになりますし、
官民一体となって軍事利用する民間港湾や空港は基地同様の最初に狙われる戦略目標となります。

こういう現場を直に見れば、諸々判る事実を指摘するメディアや専門家はあまりいませんし
奄美同様に自衛隊配備が進む他の島々にも共通する実に重大な事柄なので、
事前に警鐘を鳴らしておきたいと思います。
この各種ミサイルや付随する部隊により、本来であれば純粋な民間施設である
港湾や空港までも軍事利用され、敵ミサイルの呼び水となるリスクは言うまでもないでしょう。

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航空機を相手にする地対空ミサイルは秒単位での初動対応になりますが、
航空機やミサイルに比べて動きが遅い船を相手にする
地対艦ミサイル(SSM)は分〜時間単位で比較的余裕があり

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敵の上陸を阻止するという(あくまでも自衛隊の防衛戦略上での話)自衛隊にとって
この地対艦ミサイルはまた違った、非常に重要な意味をもってきます。
地対空ミサイルと地対艦ミサイルが分けられて配備される奄美大島では特に。

今月末から始まる日米合同の演習にも絡む、その辺はいずれ。


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