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中途半端で無意味な巡航ミサイル

報道でもご存知の通り、いよいよ自衛隊が巡航ミサイルを持とうとしています。
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これ、色々と言い訳していますが、専守防衛に必要のない事実上の敵地攻撃能力。
国民が知らないと思って、色んな意味で米軍の下請けをするためのエスカレートなんですね。
例によって軍事的な常識も踏まえて、僕のように頭の悪い人にも解るよう解説したいと思います。

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最初から結論を言うと面白くないので色々と段取り踏んで解説しますが
さて、この新しい巡航ミサイルとやら。離島防衛用らしいですよ(笑)
それも移動目標である水上部隊や上陸部隊向けの。

それが実現できたら、本当に凄いブレイクスルー的な巡航ミサイルなんですが
それ以前にこんなミサイル戦術的な意味がありません。
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いいですか、巡航ミサイルというのは終末段階がマッハ10〜20近い弾道ミサイルと違い
むちゃくちゃ遅い旅客機並の亜音速ミサイル。というか旅客機と同じエンジン。
なので、目標到達までに時間がかかるわけです。僕のように頭の悪い人にでも解るように言うと
速度が遅く目標まで時間がかかるということは、移動する敵だと、着くまでの間に
別な場所へ移動してる可能性が高まるということ、それは射程が長くなればなるほど
亜音速の遅いミサイルなんですから相手に移動する時間を与えることになります。
そんなわけで、このトマホークなどの巡航ミサイルは
一般的には飛行場や基地など”固定された目標”を遠距離から先制攻撃するために使われます。

イラク戦争などでアメリカの駆逐艦から発射された絵面を皆さんご存知でしょうし
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この前もトランプがシリアの飛行場へ向けて何十発も撃ちまくりました。
それでも、シリア側の滑走路は数日のうちに復旧して、
軍事的な実効性より政治的パフォーマンスに使われたのは、記憶に新しいとこ

何度も言いますが、弾道ミサイルなどに比べ圧倒的に速度が遅く迎撃が容易
(下手すると目視による高射砲などもで十分迎撃可能)な巡航ミサイルってのは、
固定目標にしか向かないのです。
まして、敵が上陸するような制空や制海権を握られた状況で、
遠距離からこんな亜音速のミサイルを移動目標めがけて撃ったところで、どれほどの効果があるか?

まあ、疑問符がたくさん付くわけです。戦術というより、戦略的に
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トマホークのような速度の遅いミサイルは基本的にご覧のような
デジタル地図データと電波センサーで捉えた地形を照合するような地形照合誘導が基本となります。
今では中間の誘導にGPSなどの衛星を挟めるよになりましたが
敵のレーダーを回避するために超低空飛行をする巡航ミサイル。
ミサイル自身の位置がスマホでナビを見るように正確にわかっても、
正確な地形データと照合しないと山やビルにぶつかる可能性があるわけで
依然として、巡航ミサイルの誘導はこの地形照合が基本となります。

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ハープーンという対艦ミサイルのように途中までは慣性誘導され
最終段階で自分から電波を出して移動目標を探して着弾するという
セミアクティブホーミングというミサイルもあり
この自衛隊が使うミサイルもどちらかというと、そっちよりのミサイル。

ですが、このミサイルは自ら着弾前に電波を発するので敵から確実に発見されます。
長距離から亜音速で飛んできたミサイルが低空飛行のまま”移動”する艦船や上陸部隊へ命中させるためには、直前に電波を発して目標を探すのは必須。
ポップアップと呼ばれる命中直前に低空飛行から命中率を高めるため急上昇し
急降下して突入する軌道をとれば、ただでさえ遅い亜音速ミサイル。
超音速にも対応可能な相手の近接防御システム等で尚更撃墜される可能性は大。
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つまり、この新型の巡航ミサイル。
巡航ミサイルというより既存の亜音速ハープーンミサイル等の延長版。

anti-aircraft missiles
対艦用なら中国の空母キラーと呼ばれるDF-21等の超音速で突入する対艦用の弾道ミサイル等に比べ
あくまでも戦術ミサイルの範囲で、大した脅威ではないのです。
色々と終末段階でステルス性があるとか中国の空母キラーのような開発アピールしてますが、
どんなに最終段階でフェイント入れようと本質的にはハープーンと同じで
亜音速なアクティブホーミングの戦術ミサイルであるのに変わりはありません。

中国の空母キラーとこの辺が決定的に違います。

何故かと言うと、中国には圧倒的な戦略的優位性があるからです。
ようは島嶼防衛以前に有事の際は、南西諸島なんか関係なく
発射するプラットフォームであるステルス戦闘機や潜水艦の基地や母港ごと
弾道ミサイルで徹底的に破壊すれば済むのですし、(この場合、相手は移動式になります)
中国には陸上型のイージスシステムが何個あっても足りないだけの投射能力がありますし
空港も母港も曇りだろうが雨だろうが微動だにしない固定目標。横須賀だろうが呉だろうが同じ。
有事の際は初動も初動で100%の確率で破壊されます。
戦場を限定しようなんて虫の良い話は、有事の際には通用しません。
固定目標ならば相手は座標を入力するだけで探す必要すらナシ。

いいですか、空母に載せて離島防衛しようなんて無駄ですよ。
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中国には衛星に加えOTHレーダーもあります。
目と鼻の先の海域をデカイヘリ空母なんぞで移動しようもんなら、確実に補足され
破壊される可能性は高いのです。
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相手は遥か太平洋上の米国空母艦隊を狙おうとしてる程ですよ。
目の前の東シナ海なんか、庭も庭。

そう、こんな中途半端なミサイル。専守防衛の日本では何の意味もないのです。
同じ亜音速な巡航ミサイルでも中国のほうは射程が1500km〜2000kmはありますからね。

じゃあ、なんで配備するのか?
自分らの自尊心を対外的に満たす意味合いもありますが、
開発国を見ての通り弾除け役に中途半端な性能の高い武器買わせて、
中東あたりで使い倒そうって算段。
この絵図通り、南西諸島で中国相手に喧嘩売っても後方支援の米国は一切損しないですしね(笑)
北朝鮮も戦略的には程度問題で基本的には弾道ミサイルを持ってるんで同じ。

そして、この巡航ミサイルはその向こう見ずな喧嘩を
戦術的に売る道具には持ってこいなのです。
敵地攻撃能力ではないと言い張ってますが、言葉より射程は正直。

そして、常に戦略を優先する相手は絶対に自分から手をだしませんよ。
だって黙ってても衰退していく少子高齢化の国。手を出す方がバカです。
この何十年、世界で戦争してる当事国を見れば米国と中国。どっちに火の粉がかかりやすいか?
火を見るよりも明らか

今度も後先考えず高い買い物して、破滅的な未来が待ってそうですね。
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